和歌山なくして日本食なし?日本のルーツがぎゅっとつまった 和歌山県の魅力
「あなたの出身地って何が有名なの?」という質問に、身近すぎるゆえに自分が住む土地の食文化や歴史を答えられなかった、ということはよくあります。
2020年7月に『道の駅 四季の郷公園FOOD HUNTER PARK』(以下、FOOD HUNTER PARK)が和歌山市に誕生。和歌山=みかんという人も多いのでは?実は、和歌山には日本食には欠かせない食材のルーツがあったり、世界遺産の熊野古道や高野山などの広大な自然があったりと盛りだくさんなのです。FOOD HUNTER PARKはどんな場所に生まれるのか、名前に付いているFOOD(食)から迫ってみましょう。
引用:https://blog.goo.ne.jp/20071019naka_1947/e/8b585941418233f6927f9798c2c74011
和歌山を知ると、日本の真の姿を知ることができる
引用:https://weathernews.jp/s/topics/201911/150175/
毎日の食卓のおなじみの、味噌や醤油、かつおぶし。これらの食材のルーツはすべて和歌山にあります。食にまつわる様々なテーマを題材にした漫画『美味しんぼ』(雁屋哲 著)の中で、「和歌山を知ると、日本の真の姿を知ることができる」と主人公の山岡士郎が言及するほど(参考1)。
引用:https://item.rakuten.co.jp/bunza/c/0000000852/
味噌の歴史は平安時代にまでさかのぼります。和歌山県・高野山真言宗の開祖である空海が唐(今の中国)に渡った際に、仏道修行をおこなった金山寺から『金山寺味噌』を持ち帰りました。そして、高野山開創後に修行僧を養う僧坊食に使ったことで、修行僧たちが各地に広めたという説も。また、宋(今の中国)に渡った法燈国師(ほっとうこくし)という僧が『径山寺味噌』を自身が和歌山県由良町に建立した『興国寺』に持ち帰り、その製法を伝えたという説もあります。
そして、味噌の伝来は醤油の誕生にもつながります。当時の『金山寺味噌』は水分が多く、醤油ができたのは、本当に偶然ともいえるのです。味噌をつくる工程で樽底に液汁がたまっており、その液汁をすくいとってなめてみたのがきっかけだそう。味わい深いこの液汁を、試しに調味料として煮炊きに使ったところ、とても美味しかったんだとか。味噌の製造が醤油の起源につながったのです(参考2、3)。
引用:https://www.tonohata.co.jp/ume/foods/
さらに、和食の出汁には欠かせないかつおぶしのルーツも和歌山にあります。かつおの加工は古くから行われていましたが、今に伝わる製法が生まれたのは江戸時代中期頃。当時、和歌山県印南町で漁をしていた角屋甚太郎(かどやじんたろう)が、夏から秋にかけてとれる大量のかつおを保存するために、かつおを煮て乾かし、さらに煙でいぶす『燻乾法(くんかんほう)』という技術を編み出しました。その後、印南町の漁師が各地にその技術を伝え、全国に広まったといいます(参考4)。
和歌山発祥の食は他にも数多くあります。中でも日本人の生活の中心にある醤油や味噌、かつおぶし。これらの食材が和歌山県で生まれなかったら、私たちは豆腐に醤油をたらすことも、温かいお味噌汁をすすることも、ほうれん草のおひたしの上にかつおぶしを添えることもなかったのです。
和歌山、『紀伊国』は『木の国』だった?
和歌山は『紀伊国』とも呼ばれていましたが、その由来は”木の神様が棲む国”を意味する『木の国』であったといいます。『日本書紀』によると、木種を植えて回るように素盞嗚命(すさのおのみこと)から命じられた御子神の五十猛命(いたけるのみこと)が、妹神の大屋都姫(おおやつひめ)、都麻津姫(つまつひめ)を引き連れて全国に植樹し、最終的に和歌山の地を気に入って住む場所に決めたのだそう(参考5)。
引用:https://www.kodo.pref.mie.lg.jp/
そして、和歌山県には数々の有名な世界遺産や遺跡が存在します。『熊野古道』はそのひとつ。その歴史は平安時代にまでさかのぼり、皇族から庶民まで幅広い身分の人が熊野古道を行き来していたといいます。熊野古道は、和歌山県紀伊半島にある熊野三山を目指す道であり、世界遺産に登録されています。道が世界遺産登録されるのは、世界的にも珍しいこと。道中では樹齢800年を超える大樹のほか、江戸時代から存在する石畳を見られることも醍醐味です(参考6)。
引用:https://www.wakayama-kanko.or.jp/worldheritage/koyasan1200/contents/midokoro.html
空海が開いた日本を代表する真言密教の聖地『高野山』は、標高約900mの盆地に広がります。空海は、密教の道場を開くには、都会の喧噪から離れ雄大な自然に囲まれた紀伊山地がふさわしいと判断したそう。約1200年の時が経った今もなお、高野山は僧侶が修行する学びの場であるとともに、多くの人々の信仰を集めて親しまれています。(参考7)。
引用:http://wakayamacity-bunkazai.jp/iseki/4126/
さらに、和歌山は縄文時代の遺跡が多く出土していることでも有名です。縄文時代の遺跡が少ない西日本の中では珍しく、縄文人骨や土偶の手先の遺跡などが発掘されているのだそう。縄文土器は世界最古級の土器であり、和歌山県では高山寺式土器と呼ばれる約1万年前の土器も発見されています(参考8,9)。
FOOD HUNTER PARKで身の回りの”ルーツ”に触れてみる
毎日食べている食材はどこから来たのだろうか、土地の文化が生まれるまでにどんな物語があったのか。当たり前のように触れているものでも意外と知らないことが多いです。そうした身の回りのもののルーツに触れると、まちの景色や日々の食事は以前と全く違う顔つきを帯びてくるかもしれません。農業体験や、地元食材を中心に使った料理を食べることも、いのちの根源に触れる第一歩。FOOD HUNTER PARKで遊んだ後に、自分の住む地域について興味をもってみることも、ひとつの楽しみ方かもしれません。
参考文献
・1:https://www.pref.wakayama.lg.jp/bcms/prefg/000200/nagomi/web/nagomi10/origin/index.html
・2:http://www.kinzanjimiso.jp/history.html
・3:https://kinzanji.co.jp/hpgen/HPB/entries/8.html
・4:http://wakayama-rekishi100.jp/story/046.html
・5:http://wakayama-rekishi100.jp/story/005.html
・6:https://travel.rakuten.co.jp/mytrip/howto/kumanokodo-guide/
・7:https://www.wakayama-kanko.or.jp/worldheritage/koyasan1200/contents/about_koyasan.html
・8:http://www.wakayama-city-museum.jp/past/exhibition-past20100700.html
・9:https://www.kiifudoki.wakayama-c.ed.jp/tenji/zyosetuten-zyomon.htm